「薬草のダイヤモンド」といわれる薬草「よもぎ」ついてご紹介します。

よもぎの効果・効能

ヨモギは野山や道ばたの日当たりのいい場所にごく普通に自生するキク科の多年草です。
若芽は白いうぶ毛におおわれ、春が訪れるといち早く、枯れ草の中にあざやかな緑を萌えさせる草で知られています。

ヨモギの語源は、お灸に使うもぐさがよく燃えることから”よく燃える草”善燃草とか、発育が旺盛でよく増えることから”よく萌えでる草”善萌草という説などの諸説ありますが本当のところは明らかではないそうです。

よもぎの漢方名は、艾葉(がいよう)と呼ばれています。
中国の文献によると、艾とは「疾(やまい)を艾する(病める)」の意味とされています。
日本では、古くから食用や薬草など、最近脚光を浴びているハーブのひとつとして知られ、「万葉集」や「枕草子」などにも詠まれており、「平家物語」には安徳天皇が生まれた時、「桑の弓、蓬の矢にて、天地四方を射て」と輝く未来を願ったことが書かれています。

身近なところでは「餅草」の名で親しまれています。
春先になるとヨモギの新芽を摘みお餅に撞きこんで、清々とした香りを楽しむ草餅は、まさに春の味わいが有ります。
草餅やお団子にしてヨモギを食べる風習は、優れた薬効にあやかり健康を願う昔の人たちの智恵でもあったようです。

ヨモギは色や香りがよいだけではなく、薬効成分が豊富な生薬としても知られています。
子供の頃、よもぎの草をもんで切り傷などにつけたことのある方は多いと思います。
また、三月のひな祭りの節句の菱餅の緑の部分として(女性の病気に強い)、五月の節句にはよもぎの香気が病気を防ぐなどの力があると考えられて、菖蒲湯のショウブと共にお風呂に入れて使われていました。

薬草として、殺菌、保湿、食欲増進、胆汁分泌促進、止血などの作用があります。
また、女性に多い様々な冷え性、更年期障害、手荒れ、肌荒れ、湿疹、体質改善、婦人病、貧血や腹痛、胸やけ、下痢、便秘、血尿、痔などにも有効であると言われています。

特に女性に対しては、下焦(下腹部)の経脈(経絡の事で気の巡る道すじです)を温めるという性質があるからで、経脈を温めることにより下腹部の気と血を温め、調経(月経を調節して安定させます)・止血・安胎(流産の防止など)に有効で下腹部の冷えや痛み・月経不順・月経痛・不妊などを治す効果があるとされています。 (ヨモギにはカロチン・クロロフィル・ビタミン・鉄分・カルシウムなど栄養分が多く含まれています。)

お風呂の入浴剤として使用すれば肩こり・疲労回復・冷え性対策・腰痛・リウマチ・痔・あせも・ひび・しもやけ・あかぎれ・手湿疹・こしけ(子宮内膜炎)・帯下(たいげ)、おりもの、デリケートゾーンのかゆみ対策など様々な効能があり、まさに万能薬といえるでしょう。

よもぎの様々な療法

1. 飲用療法 

陰干しにしたよもぎを煎じて飲むか生の葉をよくすりつぶしてその汁を盃一杯飲むだけ。
体内の有毒物質を分解して排出するほかに、血液を浄化し、酸性に偏りがちな体質を弱アルカリ性に改善してくれます。
風邪、冷え性対策、生理痛のほかに、下痢にもお薦めできます。又、生のよもぎを枝ごときざみ、ガーゼの袋にいれてホワイトリカーなどに漬けると約3ヶ月でよもぎ酒の出来上がり、これは強壮、利尿、健胃、整腸、吐血、食欲増進、鎮痛、などの効果があるといわれています。

2. 薬湯療法 

よく水洗いしたよもぎの葉を陰干しし、乾いてから細かく刻んで布袋に包み、お風呂にいれます。
水の時から入れて沸かすと有効成分がよくしみでるでしょう。
生の葉を入れる時は、倍の分量を使って下さい。
薬効成分が皮膚を通じて全身に広がり、老廃物の排出を促進して疲労回復に役立ちます。
よもぎに含まれる精油には、温熱効果もあり、湯ざめしにくくなります。
入浴中に袋で体をこすると、冷え性対策、腰痛、腹痛などにも効果的です。マタ、ショウブやニワトコを鎮静効果も期待できます。

3. 食用療法 

草もち、おひたし、てんぷらにしていただきます。
ミネラルや各種酵素、ビタミン類や食物繊維の補給に効果的で「よもぎを一年中煎じて飲めば病気をしない」というもあるくらいです。

4. エキス療法 

エキスを煮出して湿布します。神経痛、腰痛、肩こり、関節炎、虫さされ、切り傷、打撲、皮膚炎、肝臓障害、などに効くといわれています。
うがい薬として使えば、扁桃腺炎や咽頭炎の予防になります。

5. 温灸療法

和紙や枇杷の葉を重ねた上から、乾燥よもぎの葉でお灸をします。
細胞を活性化し、頑固な慢性病の改善などに役立ちます。

6. 力線療法

乾燥させた葉を枇杷の葉などとミックスし、枕、マット、座布団に入れて利用します。
自律神経失調症、不眠症、頭痛、更年期障害、冷え性対策、また痔にも効くといわれています。

7. 燻蒸療法(煙を吸ったり当てたりする療法)

8. 芳香療法(アロマテラピー効果)

よもぎの香で心を楽にし、皮膚からの活性化、殺菌します。
目のつかれや抗偏頭痛用としても効能があります。

よもぎと野菜の栄養成分の比較

食品としてよもぎを見てみると、にんじんやほうれん草などの緑黄色野菜以上に身体に良い栄養素を豊富に含んでいます。
緑黄色野菜とはカロチンが多くビタミンA効力の優れた野菜ですが、よもぎには下記の表のようにビタミンA効力だけでなくカルシウムや鉄分など、現代人に不足しがちな微量栄養素がバランス良く豊富に含まれています。

食品名繊維(g)カルシウム(mg)リン(mg)鉄(mg)ナトリウム(mg)カリウム(mg)カロチン(μg)ビタミンA効力(IU)
よもぎ(生葉)2.2140704.38.06703,6002,000
よもぎ(粉末)12.01,23031253.665.22,19016,2009,000
普通牛乳0100900.150.015011110
ほうれん草(生)0.855603.721.07403,1001,700
にんじん(生)1.039360.826.04007,3004,100
かぼちゃ(西洋・生)1.224370.61.0370850470
グリーンピース2.7261102.01.0370340190
(「四訂日本食品標準成分表より。よもぎ粉末の値のみ日本食品分析センター第450111032-001号による)

よもぎのLaboのよもぎについて